医療保険の主契約である入院給付金ですがどのくらいの金額に設定するべきか悩んでしまう方が多いかと思います。
保険会社によって設定できる入院給付金は5千円〜2万円と幅広く、一体いくらにするのが正解かわかりませんよね。
手厚くすれば毎月の掛け金は高くなりますし、毎月の掛け金を抑えると保障が手薄になりますから本当にむずかしい選択だと思います。
ですから今回はシンプルに「入院するとかかるお金」を把握し、適切な入院給付金の選択の仕方をまとめました。
入院給付金とは?

まずはそもそも入院給付金とは何か?です。
入院給付金とはケガや病気で入院した場合に1日あたり○円というかたちで受けとれる保険金です。
ただし入院給付金の支払い対象は治療を目的とした入院に限ります。
そのため検査入院や正常分娩での入院は保障の対象外となりますので注意が必要です。
最近は入院1日目から保障されるのはもちろん、日帰り入院でも保障が受けられる保険が主流になっています。
ですが少し前の医療保険ですと数日間の免責期間(非保障期間)が設けられていることが多いです。
例えば5日間の免責期間のある医療保険の場合は5日間は給付金が支払われず、入院開始後6日目から保障が始まるということですね。
入院の短期化によってこのような保険は今では心もとないですから10年以上前の古い医療保険に加入されている方は見直しされるのがおすすめです。
ですが古い医療保険をお持ちの方は保険の見直しで毎月の掛け金が上がってしまう可能性が高いので心配な方は保険のプロに相談の上で見直すのが安心ですよ。
入院給付金とは?
- 入院1日あたりに受けとれる保険金
- 治療を目的とした入院が支払い対象
- 日帰り入院でも保障されるかが重要
- 10年以上前に医療保険に加入した方は免責期間に注意
入院給付金の正解は?
結論としては入院給付金は5000円もあれば十分です。

5000円だとちょっと心配だなぁ…
こう思われる方もおられるかと思います。
ですからなぜ入院給付金が5000円で十分なのか?をまとめました。
- 1ヶ月の医療費の上限が決まっている
- 入院でかかるお金は意外と少ない
それぞれ詳しく解説しますね。
1ヶ月の医療費の上限が決まっている
入院すると高額な医療費が発生してしまうと考えている方が多いですが実際にはそこまでお金はかかりません。
なぜかというと日本の公的保険の1つ「高額療養費制度」のおかげで1ヶ月に負担する医療費の上限が決まっています。
この「高額療養費制度」は保険証をお持ちでしたら適用されますからほとんど全ての方が対象となります。
また年齢や年収によってこの上限額は変わります。ご自身がどこに該当するか確認してみましょう。
適用区分 | ひと月の上限額 | |
ア | 年収約1,160万円〜 | 252,600+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770〜約1,160万円 | 167,400+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370〜約770万円 | 80,100+(医療費-267,000)×1% |
エ | 〜年収約370万円 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
おそらくほとんどの方は「ウ」に該当されるかと思います。
ややこしい計算式が記載されていますが「ウ」に該当する方は1ヶ月の医療費負担が9万円ほどで済みます。
意外と負担額が低くて驚いた方も多いのではないでしょうか?
これは例えば入院や手術などで1ヶ月の医療費が100万円かかった場合でも自己負担額は9万円で済むということですね。
日本は世界的に見ても公的医療保険が充実しており。医療費で破綻することがないように何重にもセーフティーネットが張られています。
公的医療保険に関してはこちらに詳しくまとめています。
入院でかかるお金は意外と少ない
入院した場合に最低限負担するお金としては医療費と食事代になります。
それでは1ヶ月まるまる入院して医療費が50万円かかった場合に実際ご自身が負担する金額を考えてみましょう。
医療費が50万円かかった場合でも「高額療養費制度」がありますから医療費の自己負担は9万円ほどとなります。
ですが入院中の食事代は「高額療養費制度」の対象外ですからご自身で負担する必要があるんですね。
この入院中の食事代は1食あたり460円と金額が決められています。
1日3食ですから(460円×3食)で1日あたりの食事代は1,380円、1ヶ月入院した場合は(1380円×30日)で41,400円となります。
そのため1ヶ月に負担する金額を計算すると以下のようになります。
90,000円(医療費)+41,400円(1ヶ月の食事代)=131,400円
つまり1ヶ月入院したとしてもご自身で負担する金額は13万1400円で済むことになります。
ではこれを1日あたりの負担額に直してみましょう。
131,400(1ヶ月の自己負担額)÷30日=4,380円(1日あたりの自己負担額)
1日あたりの自己負担は4,380円となります。
このくらいの負担であればご自身の貯蓄からでも十分まかなえるという方も多いのではないでしょうか?
実際にどのくらいの貯蓄があれば医療保険は不要なのか?に関してこちらにまとめています。
ですが貯蓄があっても安心のために医療保険に入りたいという方は入院給付金5,000円もあれば医療費の不安はなくなりますよね。
また入院した場合はかかるお金だけではなく、減る収入について考えることも重要ですからこちらが参考になるかと思います。
入院給付金5,000円で気をつけるべきポイント
基本的にほとんどの方が入院給付金は5,000円もあれば十分です。
ですが入院給付金を5,000円で設定する場合に気をつけなければいけないポイントが2つありますのでまとめました。
- 月末入院に対応できない
- 差額ベッド代に対応できない
月末入院に対応できない
「高額療養費制度」のおかげで1ヶ月に負担する医療費の上限額が決まっています。
ですがこの「高額療養費制度」の1ヶ月というのはその月の1日〜末日までで計算されます。
ですから月末近くに入院をし、翌月まで入院が長引いてしまった場合は月をまたいでいますから各月で別々に計算されてしまうんですね。
そのためこの月末入院で月またぎが発生する場合は入院給付金が5,000円ですと医療費のすべてをカバーすることはむずかしいと言えます。
もしも入院した際の医療費を全く負担したくないという方は入院給付金を1万円にするのも1つの手です。
ですが毎月の掛け金が単純に倍になってしまいますからその分を貯蓄に回し、万が一月末入院となった場合にはその貯蓄を切り崩す…というのがベストかと思います。
差額ベッド代に対応できない
この差額ベッド代(差額室料)とは簡単に言うと個室代のことです。
通常の入院ですと6〜8人の大部屋で入院生活を送ることになりますが、患者の希望で1〜4人の個室(特別療養環境室)での入院が可能です。
大部屋に比べると静かでプライバシーが確保できるのが特徴ですが平均で1日あたり6,000円ほどの差額ベッド代が発生してしまいます。
この差額ベッド代は「高額療養費制度」の対象外ですからすべて実費負担となります。
1〜2日ほどでしたら大きな負担にはなりませんが長期入院の場合はとても大きな出費になってしまいますよね。
ただしこの差額ベッド代はあくまで「患者が希望した場合」に発生します。
- ・医師が個室での療養が必要と判断した場合
- ・大部屋が満員などの病院都合の場合
上記の理由で個室での入院となった場合は差額ベッド代は発生しません。
ですから入院した時に「絶対に個室でなければ嫌だ」と言う方は入院給付金5,000円では足りませんし、特にこだわりが無い方は5,000円で十分です。
まとめ
今回は医療保険の主契約である入院給付金に関してまとめました。
個人的には医療保険はシンプルで最低限な内容で加入されるのがおすすめですよ。
ですがどうしても自分の事となると保障を手厚くしてしまい無駄な保険料を支払ってしまっている方が多いです。
もしご自身では保障内容を決めきれないという方は1度プロに無料相談してみるのも1つの手かと思います。
また保険選びで悩んでいる方はこちらに絶対に失敗したくない人の医療保険の選び方をまとめていますので参考になるかと思います。